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モロッコ一人旅

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マラケシュ→カサブランカ

 チェックアウトしてホテルを出て駅へ向かっていると男が並んで歩きながら話しかけてきた。何かの客引きだと思い無視して いると腕を掴んできたので「Don't touch!」と言って振り払うと今度はカバンを掴んで放さない。言葉の通じない押し問答をして いると、どうもReceptionと言っているようだった。男の胸を見ると泊ったホテルの名前の入ったバッジをしているので、取敢えず 男と一緒にホテルに戻ってみることにした。ロビーに入るとフロントのカウンターの上に赤い日本のパスポートが置いてあった。 それを見た瞬間昨日チェックインの時にキーと引き換えにパスポートを預けてそのままだった事を思い出した。パスポートは私の だった。男はホテルのベルボーイでわざわざ私を引き止めに来てくれたのだった。私は彼の両手を握って握手をして何度も御礼を 言った。そして再び駅に向かって歩いた。

 駅へ行ったら久しぶりにマクドナルドの朝メニューを食べようと期待していたが、9時開店で入れなかった。仕方なく隣の エスプレッソバーでサンドイッチとエスプレッソを買った。マラケシュではNTTドコモのFOMAが使えたので久しぶりに会社に電話 してみた。しかし、日本は金曜日の午後5:30だったので何も用は無かった。

 列車は定刻に出発。TangerからFezへ行くときに乗ったのと同じコンパートメント形式の車両で、時々車内販売が回ってきた。 マラケシュからカサブランカまで窓の外にはずっと赤茶けた何も無い荒涼とした平地が続いていた。カサブランカに近くなると 何度か停車した。他の旅行者につられて一度間違えて降りてしまったが発車直前に気がつきあわてて戻ったら2等車だった。 デッキに立っていた男性に「Casa Voyageurs?」と聞くと「後2駅だ」と教えてくれた。壁に路線図が貼ってあったのでやっと 現在位置が把握できた。

 Casa Voyageursに着いて駅を出ると直ぐ右手にIbisホテルがあった。タクシーの客引きを振り切ってホテルへ行くとドアボーイ がドアを開けてくれてた。フロントで部屋が空いているかと聞くと受付の女性は怪訝そうな顔をして予約は有るかと聞いてきた。 無いというと空きは無いと断られた。予約をすれば良いのかと思いホテルをでて暫くしてから携帯電話でホテルに電話して今晩 の予約が出来るかと聞いてみたが断られてしまった。駅前にはもう一軒ホテルがあるがそこは安宿だったので泊りたくなかった。 しかし駅周辺を一回りして他に選択肢は見つからなかった。翌朝は早朝出発なので駅の近くに泊りたかった。結局その安宿で我慢 する事にした。まだ時間が早かったので部屋は沢山空いていた。料金は150DH、部屋には裸電球一つと洗面台が一つ、窓には鉄格子、 まるで刑務所の独房のよう。部屋に荷物を置いて市街観光に出発。

 駅に戻ってタクシー乗り場でタクシーのドライバーと料金交渉をしてハッサン2世モスクまで行った。途中運転手が100DHで 市内を一周してくれると言い出した。ハッサン2世モスクまでなら30DH。色々考えて結局モスクで降りた。モスクはとても立派 だった。残念ながら中にはは入れなかった。モスクの前に止まっていたタクシーにAinDiabまでの料金を聞いたら40DHだった。 AinDiabのマクドナルドでを見ながらハンバーガーを食べ再びタクシーに乗ってメディナへ向かった。カサブランカで初めて 流しのタクシーに乗った。乗るとすぐ運転手はメーターを倒した。初乗りは7DHだった。メーターををずっと見ていたが少し づつしか料金があがらない。結局メディナまで19DHだった。さっきまでの料金はボッタクリだった。駅前のタクシー乗り場に タクシーが沢山止まっているのに、わざわざ通りへ出て流しのタクシーを拾っている人がいたがやっと理由が分かった。

 メディナの城壁の横でタクシーを降りいざメディナの中へ。城壁を潜るとスークごちゃごちゃとしたスークになっている。 革のコートが欲しかったので革製品屋を端から順番にすべて見て回った。どこの店でも値段を聞くと短い革ジャンが900DH、 長いコートが1,200DHだった。その通りにあった店には"これ"と言ったデザインのコートが無かったので結局買わずにスークの 反対側に出てしまった。城壁の外側には昔の秋葉原のような電気製品のジャンク屋が並んでいた。どう見てもゴミにしか見えない 正にジャンクを道端に並べて売っていた。変わった物が目に付いたので良く見てみると手回し式の計算機だった。本で読んで存在 は知っていたが実物を見るのは初めてだった。

 城壁の外を通ってもと来た場所に戻りまたスークに入って今度は一本隣の通りへ行ってみた。諦めていたが駄目もとで革製品 の店には入るとズバリのデザインのコートがあった。私は粘ってなんとか値引きをしてもらいそのコートを買った。探していた物 が見つかり値切ることも出来て幸な気持ちになった。メディナの南側に繁華街があり東京なんとかというレストランがガイドブック に載っていたのでそこで夕食を取ろうと思った。しかし、地図の場所へ行っても日本食レストランらしきものが無い。通りを何度も 往復したが派手な外装の中華料理屋があるだけだった。ガイドブックを良く見るとその探していた場所はその中華料理屋で名前は 東京楼だった。中華という気分ではなかったので他を探すことにした。結局ピザを食べてその後カフェ町を行く人々を眺めながら エスプレッソを飲みホテルへ帰った。

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