立山 C-172墜落事故
2017.06.04
 昨日北アルプスにセスナが墜落し乗っていた4人が死亡するという事故が起きました。亡くなられた方の冥福を祈ります。事故の報を聞いて最初に「なぜ?」と思いました。機体を所有する新中央航空が運営する飛行クラブは定期便を運行する会社が整備した機体が使える事、経験豊富な教官が同乗してくれる事に魅力を感じ私も入会しました。搭乗者の1人は新中央航空の社員と報じられていましたので、きっと教官同乗だったはず。なのになぜ?自分なりに原因を分析してみました。

 富山空港と松本空港の間には9,000ft級の山脈が南北に走り、低い高度で飛ぶにはかなり迂回が必要になります。立山付近に墜落したという事は迂回をせず山脈を超えるように飛んでいたと考えられます。当時現場は雲に包まれていたようで救助のヘリも地表が黙視出来ない程でしたから、山岳地の手前から墜落するまで雲中飛行となっていたかも知れません。C-172で上れる最大の高度は条件にもよりますが大体12,000ft位です。私の経験では10,000ftを超えるとフルスロットルでもなかなか上昇できなかった記憶があります。9,000ftで巡航していても地表が7,000ftだと見た目の高度は2,000ftしかありません。そこで海抜2,000ftと同じ様に操縦桿を引くとすぐ失速しそうになり飛行機のパフォーマンスが劇的に低下しているのを実感します。そして雲の中を飛ぶと知らないうちに翼の前縁に氷が張り付きます。それが飛行機の重量を増やし翼の揚力も奪います。以前C-172に3人乗ってLAの北の8,000ftくらいの雲の中の山脈を超えようとして、8,000ft位からフルスロットルで目一杯操縦桿を引いても全く上昇しなくなり、諦めて引き返した事がありました。昨日の事故の報を聞いてあの日の事を思い出しました。

 新中央航空なので重量バランスの計算はしていたと思います。教官がいたので悪天候でも飛ぶ資格や条件は合法だったと思います。4人乗ってきっと燃料満タンで雲中の9,000ftの山を越えるのは少し無理があったように思えます。教官は雲の中でなかなか上昇しないのを感じながら、高度計を見れば墜落する危険は読めたはず。それでも引き返せない何か理由があったのだと推測します。私がLAの山を越えられなかった時は、手前の空港に機体を置いて車で迎えに来てもらい帰宅しました。で、関係者が翌日機体を回収しに行きました。日本ではコストを考えるとなかなかそういう事がしにくいのが現状です。やはり日本で飛ぶのは天気の良い日に空港から1〜2時間程度の所を飛ぶのが良さそうです。

トラックバックURL
トラックバック一覧
コメント一覧
コメント投稿

名前

URL

メッセージ

- CafeNote -